青山学院幼稚園からの「園だより」をお届けします。
今月の園だよりから
2024年度
12月のおたより
園長より
幼稚園の創立記念礼拝は、11月14日に新園舎の礼拝堂で行われました。例年の幼稚園での学院創立記念礼拝は、年長組の親子のみが出席していましたが、今年は園児全員で保護者の皆さんも一緒に礼拝をもてました。子どもたちの賛美の声が礼拝堂いっぱいに大きく響いて、素晴らしかったです。年少組も、お話をしっかり聞けて立派でした。その翌日は、初等部の創立記念礼拝でしたが、初等部生の大きな賛美の声に感動しました。
11月16日は青山学院創立150周年記念式典が青山学院講堂で行われました。そこでも年長組有志の園児の歌声が皆さんの感動をよんでいました。子どもたちの歌声には、大人の心を揺さぶる力があるようです。心が洗われるようでいて、なんだか希望が湧いてくるような、元気をもらえるのです。それは私が年を重ねて、若いころの力を失ったので余計に感じるのかもしれません。子育て真っ最中で、精一杯子どもと向き合っていると、余裕がなくて時には、子どもの声はやかましい音、心をかき乱されることもあります。けれども、子どもが元気に歌って踊る姿は、みんなをとってもハッピーにしてくれるのは間違いありません。創立記念式典の中で、彼らが踊った「響け!青山学院幼稚園ダンス」が最も称賛されたように思います。
40年前、創立110周年記念式典で園児として歌ったことを懐かしんでおられる保護者の方のお話を伺い、この子どもたちも、この思い出を胸に青山学院の核として立派に成長してくれるのだと確信しました。
「この希望が失望に終わることはありません。私たちに与えられた聖霊によって、神の愛が私たちの心に注がれているからです。」ローマの信徒への手紙5章5節
11月のおたより
園長より
秋分の日が過ぎ、ようやく夏が終わったかと思いましたが、10月に入っても夏日が続き、各部の運動会も熱中症対策を講じながら行われました。幼稚園の運動会は高等部の広い体育館で実施されましたので、園児もご家族の皆様もゆったりと快適に楽しんでいただけたのではないでしょうか。
私は幼稚園の運動会だけでなく、初等部・中等部の運動会も拝見する機会がありました。それぞれの運動会には発達段階による違いがあるものの、一生懸命に競技に取り組む姿や、大きな声で応援し、歓喜する様子は同じで、見ているだけで心が熱くなりました。
その中で、涙を流す姿も見られました。涙の理由はそれぞれですが、思いが叶わなかった悔しさや、うまくできなかった無念さ、不甲斐なさ―どれも、より良い結果を真剣に願い求めていたからこそ、叶わなかったときにこぼれる涙でしょう。真剣に取り組み、勝利を目指して努力することなくしては、味わうことのできない貴重な挫折の体験です。私たちは失敗や敗北、挫折から多くのことを学び、むしろそこから立ち上がる力や工夫、知恵を身に付け、成長してきたのだと思います。子どもたちが日々直面する「泣きたくなること」も、その涙の一つ一つが成長の糧になっていると思うと、「いいぞ、もっと泣け!そして頑張れるよ!」と、笑顔で応援したくなります。
「およそ鍛錬というものは、当座は喜ばしいものではなく、悲しいものと思われるのですが、後には、それによって鍛え上げられた人々に、平安な義の実を結ばせるのです。」
ヘブライ人への手紙12章11節
10月のおたより
園長より
新しい園舎での生活がスタートしました。教職員にとっては、新しい園舎にまだ慣れず収納場所がどこだかわからず戸惑ったり、設備の操作にまごついたりすることがたびたびあります。けれども、子どもは広くなったホールや廊下・縁側で、自由にいろいろな遊びを始めています。園舎全体が開放的なつくりになっていますが、保育室の隅は、静かに遊びたい子どもの居場所になっています。絵本コーナーや木工コーナーは、独立したスペースとしてゆっくり集中できる場所になりました。園庭がないなかではありますが、子どもは様々なスペースを活用しながら新しい環境を楽しんでいるようです。
子どもが大人と比べて新しい環境に早く適応できるのは、日々新たな体験を積み重ねながら多くの事柄を習得する連続だからなのでしょう。私は昨年、長年住み慣れた家から転居しましたが、1年たってようやく器具や設備の使い方、新しい生活様式に慣れてきたように感じる程度ですから、違いは明らかです。子どもが新しい環境に順応するのが早いということは、その環境に大きく影響されるということです。子どもは、自分で自分の生活環境を変えることはできません。置かれた環境の中で生きなければなりません。だからこそ、子どもが安心して過ごせる環境、落ち着いてゆっくり休める時間は子どもの健やかな成長に欠かせないものです。そして、子どもが成長するときに最も大切な環境は、自分が大切にされていると感じられること、親にいい子だと言ってもらえることのように思います。ほかの子との比較ではなく、我が子はいい子。そう言ってもらえたら子どもは嬉しい。安心していい子になります。
「これは私の愛する子、私の心に適う者」マタイによる福音書3章17節
9月のおたより
園長より
今年も猛暑の日が続いた夏休みでしたが、皆さん元気に過ごされたでしょうか。夏休みならではの体験をされたご家族もあったかと思います。7月に行った館山でのキャンプでもバッタやカエルを探してたくさん捕まえたり、草をむしゃむしゃ食べるヤギや広い海に沈む赤い夕陽を見たり、短い時間の中で初めての経験や楽しい遊びを満喫できました。
9月からいよいよ新園舎での生活が始まります。教職員は夏休みの間、旧園舎からの引っ越しに大わらわでした。新しい園舎で子どもたちがどんな遊びを始めるのか期待に胸を膨らませながら、快適な保育環境を整えるために直前まで準備を進めてまいりました。安全に十分に遊べるように計画してきましたが、実際に新園舎で過ごすうちに、使い方を改めたり備品を用意したりする必要が出てくることと思いますので、その際にはご家族の皆様のご理解ご協力をよろしくお願いいたします。
新しいことを始める時は、期待と喜びともに不安や緊張感があります。経験が少ない子どもたちにとって毎日が新しい経験、発見の連続でしょう。そこから多くのことを学んで成長していきます。大人になるにつれて、新しいこととの出会いが減ってしまうのは仕方がないことですが、繰り返される日々が当たり前のことではなく、神様から新たに与えられたいのちの一日として感謝して生きることができたらと願います。
備えられた新しい園舎で、子どもたちとともに新たな一日一日を過ごしてまいりましょう。
「だから、私たちは落胆しません。私たちの外なる人が朽ちるとしても、私たちの内なる人は日々新たにされていきます。」
コリントの信徒への手紙4章16節
7月のおたより
園長より
今年の7月は青山学院幼稚園にとって特別な時です。4日、5日は館山で行う初めてのキャンプがあります。親元を離れて子どもたちで過ごす二日間は、普段の自由で整えられた環境とは違い、自然の中で解放されて楽しくもありながら、我慢を強いられ緊張感もある生活です。このような生活体験が子どもの成長に大きな力となります。子どもの不安や緊張を受け止めながら、子どもが期待と喜びを胸に参加できるようにしたいと思います。
また、19日と20日には、64年間多くの園児が集った園舎に感謝する会が開かれます。20日には、1,000人を越える皆さんが来られます。在園生は、現在の園舎で遊ぶ最後の子どもたちですから、園舎や園庭で遊んだ記憶が残っていてくれたらと思います。しかし、子どもたちは今を一生懸命に生きています。これからも、たくさんの出会いと別れを経験しながら成長し、未来を生きていきます。幼稚園で、ご家庭で繰り返される何事もなかったような日々が、子どもたちの育ちにとって貴重な一日となっています。朝の祈りの中で、「私たちの人生に新しい一日を加えて下さりありがとうございます」と祈りますが、暑い夏の日も、凍える冬の日も神様から与えられた日として、感謝して過ごしたいと願います。
「すべて重荷を負って苦労している者は、私のもとに来なさい。あなたがたを休ませてあげよう。」
マタイによる福音書11章 28節
6月のおたより
園長より
朝、野の花門で立っていると、子どもが私に話しかけてくれます。話しかけられると、とても嬉しいのですが、子どもの言葉を聞き取るのには難しさを感じることもあります。しかし、ご家族や保育者は、子どもの話すカタコトの言葉を上手に理解します。それは、子どもと共に過ごし、子どもが何を伝えようとしているのかを想像し、子どもの気持ちに寄り添う姿勢がなせる業だと思います。ご家族や保育者が子どもの気持ちを理解し、温かく受け止めることで、子どもは安心して言葉を発することができます。
言葉は、単なるコミュニケーションの手段ではなく、人と人との心をつなぐ大切な道具です。特に、幼い子どもにとって、自分の気持ちや考えを表現する手段として言葉の修得は非常に重要です。思いやりに満ちた言葉を繰り返し聞くことで、子どもの心は豊かに育まれ、自信を持って自己表現ができるようになります。
母の日礼拝で、「お母さん大好きありがとう、ありがとう」「お母さんもあなたが大好きでたまらないの」と歌い合いました。とても温かい言葉です。心が癒される言葉です。みんなが笑顔になりました。これからも、子どもたちの言葉に耳を傾け、優しく温かい言葉をかけ続け、成長を見守ってまいりましょう。
神様は私たちを見守ってくださいますから、安心してください、大丈夫です。
「初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。」ヨハネによる福音書 1 : 1
5月のおたより
園長より
子どもの好きな遊びは子どもによってそれぞれですが、遊びを通して身体の発達や知識、技能の習得、そして観察力、記憶力、想像力と創造力、さらに表現力、思いやり、協調性などなど、多くの力が養われます。遊びは子どもにとって学びそのものです。幼稚園では子どもがしたいこと、見たいこと、聞きたいこと、知りたいこと、何々したいと思うことを大切にしています。古典の言葉では「ゆかし」です。子どもによっては、まだこの「ゆかし」が前面に出てこないこともありますが、自由にしたいことを楽しそうに遊ぶお友達を見ているうちに、まねてみようと思います。真似ること「まねぶ」が「学ぶ」の語源だといわれるゆえんです。じっと見ていて、聞いて学んでいます。一人ひとりそれぞれのペースで、学びを続けています。
先日、卒園生のお父様が、お孫さんに木のトラックをご自身で作ってプレゼントしたお話を伺いました。段ボールで作った船のおもちゃの写真も拝見しました。どうして上手におもちゃをつくれるのか伺ったところ、ご自身も父親におもちゃを作ってもらい、一緒につくっていたのだそうです。図面も引かずに、子どもが木工をするように作るとのことです。お孫さんは、作ってもらったトラックを抱いて寝ていたと嬉しそうに話しておられました。親と子が一緒に遊ぶことの楽しさ、何物にも代えがたい時間。愛にみちあふれた時は、子どもにとって最も大事な時だと感じました。
保育者やご家族の見守りの中で、子どもの主体的な遊びが生まれます。見守られている安心感が、新しい一歩を踏み出す力になります。
「しかし、イエスは言われた。『子どもたちをそのままにしておきなさい。私のところに来るのを妨げてはならない。天の国はこのような者たちのものである。』」マタイによる福音書19章14節
4月のおたより
園長より
今年は近年になく桜の開花が遅く、園庭のソメイヨシノも今年で最後になる花を園児に見てもらいたいと待っていたようです。青山キャンパスは桜が咲き欅の若葉が芽吹き一年で最も美しい時を迎えています。
青山学院は今年創立150周年を迎え、「響け、青学マインド。」のテーマのもとに多くの記念行事が計画されております。幼稚園も創立150周年記念の新園舎の工事も進み、9月からは新園舎に移ります。長年慣れ親しんできた園舎や園庭で過ごす、最後の時となります。子どもたちには、現園舎でおもいっきり自由に、のびのびと楽しく遊んでもらいたいと願っております。
子どもの世界は大人の世界の縮図です。楽しい時があれば、辛いこともあります。仲良くしていたと思えば、ケンカをしています。トラブルがあります、ケガもします。泣いて笑って全てが貴重な学びです。繰り返し失敗する中で少しずつ、しかし確実に成長します。先月高校1年生の幼稚園同窓会がありましたが、その成長ぶりに保育者は目を見張っていました。大丈夫です、長い目で見守ってください。
私ども教職員も、神様が特別に選んでくださった大切な一人ひとりであることを心に刻み、祈りつつ子どもたちの成長を助け、見守ってまいります。
「それゆえ、信仰と、希望と、愛、この三つは、いつまでも残ります。その中で最も大いなるものは、愛です。」コリントの信徒への手紙 一 第13章13節