青山学院幼稚園からの「園だより」をお届けします。
今月の園だよりから
2021年度
3月のおたより
園長より
今年は冬の寒さがきつく長く続いたように思いますが、3月の声を聞くと日差しの明るさに春の訪れを感じ気持ちが明るくなってまいります。今年度もコロナ禍のために、計画していたことが十分にはできず、申し訳ございませんでした。もうすぐ卒園を迎える年長さんには特に残り少ない幼稚園生活の中で、できる限りいろいろな遊びを通して成長できるようにと願っております。
「幸せだから感謝するのではなく、感謝するから幸せなのです」これは、ジョン・クアン先生の『一生感謝』の中の言葉です。同じような境遇であっても、幸せだと感じるか、幸せではないと感じるかは、人それぞれです。病気やケガで入院して、今まで当たり前に思えていた生活が、どんなに恵まれていたか幸せであったかに気づいたということを度々耳にします。「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい。」(テサロニケの信徒への手紙一5:16~18)は幼稚園で大切にしている言葉ですが、どんなことにも感謝するということは、簡単なことではありません。しかし、たとえどんな場合でも、その体験は無駄ではない、得難い経験として自分の成長につながると信じて感謝できたなら、それは素晴らしいことです。コロナ禍の生活を感謝することはありえないことかもしれません。しかしながら、それでもなおこの中にある喜びを見出し感謝できたならそれは、幸せなことです。
子どもたちがこの一年、神さまと皆様の守りの中で確かな成長が与えられたことに感謝いたします。皆様の献身的なお働きに心から感謝申し上げます。神さまからの祝福が幾重にもありますようにお祈りいたします。
希望をもって喜び、苦難を耐え忍び、たゆまず祈りなさい。(ローマの信徒への手紙12章 12節)
2月のおたより
園長より
年が明けてから、コロナウイルスの感染が急激に拡がり、子どもたちが楽しみにしていた「こどもフェスタ」を2月末に延期せざるを得ないことになりました。長い間、準備を進めてくださっている役員の皆様をはじめ保護者の皆様にご迷惑をおかけして申し訳ございません。第6波は急速にピークを迎えてその後は急激に収束に向かうとの予測もありますので、2月26日に実施できることを願い祈っております。
子どもは時によって、登園することを嫌がることがあると思います。私も幼稚園に行くのを嫌がった記憶があります。その時、父は私をバイクに乗せて、家の近くのお店に行ってジュースを飲ませてくれました。それから、幼稚園の前の駄菓子屋さんで、かき氷を食べさせてくれたのです。しかし、それでも私は幼稚園には入らずに自宅に戻ってきました。その顛末を聞いた近所の人に「ずいぶん得をしたね。」と笑われ、恥ずかしい思いをしたことをよく覚えています。今となっては、なぜそれほど嫌だったのか覚えていませんが、よほど嫌なことがあったのではないかと思います。しかし、翌日は何事もなかったかのように友達と仲良く遊んだようです。子どもも大人と同じように、いろいろな困難を抱えながら、それを少しずつ乗り越えて成長していきます。未曾有の出来事が続く今も、か弱い子どもが、たくましく生きている姿に力づけられます。おのおの違いがあれども、人にはそれぞれ相応しい時があるのだと強く思います。これからも、子どもたちの成長を支え、見守り続けたいと思います。
「天の下では、すべてに時機があり すべての出来事に時がある。」コヘレトの言葉3章1節
1月のおたより
園長より
新年あけましておめでとうございます。
先月行われた幼稚園のクリスマス礼拝は、感染予防のために学年ごとに分かれて行われましたが、今年度の年長さんのページェントの特徴は、赤ちゃんイエス様とナレーターの役が加わったことでした。赤ちゃんイエス様の役を演じられるのは、園児ならではと思いますが、とても微笑ましい光景でした。ナレーターは、厳しい状況にある子どもたちのことを知った園児たちが自分たちのことだけでなく、他の子どもたちのために祈ることを宣言していました。ここでも、自分の力を他の人のために進んで発揮するサーバント・リーダーとして生きる子どもの姿を見ることができました。
クリスマス礼拝で子どもたちが賛美する歌声を聴いていると、心が熱くなり涙がにじんできました。子どもがもっている純真さや未知なる可能性、希望の光を感じたからかもしれません。子どもたちの賛美の声には、人の心を震わせ、癒し励ます力があります。
新しい年も、子どもは成長を続けます。私たちも子どもと共に、癒し励まし合いながら希望をもって成長する者でありたいと願います。この1年も皆様の上に神様のお守りと祝福が豊かにありますようにお祈りいたします。
「私たちの主イエス・キリストご自身と、私たちを愛して、永遠の慰めと確かな希望とを恵みによって与えてくださった、私たちの父なる神とが、あなたがたの心を励まし、また強め、いつも善い行いをし、善い言葉を語る者としてくださいますように。」
テサロニケの信徒への手紙二2章16~17節
12月のおたより
園長より
今年の幼稚園のクリスマス礼拝は、昨年と同様に学年で分散して行います。全員そろっての礼拝ではありませんが、心のこもったクリスマス礼拝を、今年も捧げられることに感謝いたします。救い主が誕生したとの知らせを最初に聞いたのは、野宿をしていた羊飼いたちであったと聖書は記しています。人類の救い主が誕生したという重大なニュースを、定住するところがなく、税金も納めず、人々から蔑まれていた羊飼いが最初に聞くことになりました。豊かな街の人々から、切り離されていた羊飼いにこそ、クリスマスの喜びの知らせが必要だったのです。SDGsは、誰一人として取り残すことなく持続可能な発展を目指しています。クリスマスを迎える時に、私たちの周りに助けを必要とする人がおられることを忘れてはなりません。皆様から捧げられる献金は、今年も多くの人々を支えることになります。子どもたちが捧げるものは小さな捧げものですが、人々の幸せを願う心は、何物にも勝るとも劣らない尊い捧げものです。心より感謝いたします。主イエス・キリストは、神と人とが仲良く生きられる道を備えられた平和の君です。私たちも、どのような中にあっても希望を失わずに、互いに愛し合い、仕え合って平和な家庭をつくり、平和な社会、平和な世界を作り出す者でありたいと切に願います。楽しいクリスマスをお迎えください。皆様に、神さまの守りと平安、そして平和を作り出す力が与えられますようにお祈りいたします。
「恐れるな。私は、すべての民に与えられる大きな喜びを告げる。今日ダビデの町に、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。」ルカによる福音書2章10~11節
11月のおたより
園長より
秋の日は釣瓶落とし、夕暮れ時の早さと風の冷たさに季節の移り変わりを感じます。収穫の秋を迎え、園庭の銀杏もたくさん拾うことができました。子どもたちは、爽やかな風の中楽しく遊んでいます。11月は、入園テスト期間でしばらくお休みになります。ご家庭で過ごす時間が多くなりますがよろしくお願いいたします。新型コロナウイルスの感染が減少しておりますので、11月15日以降は、保育時間を例年に近づけるように軽食の取り方を変更する予定です。感染予防に努めながら子どもの学びと成長の元となる遊びの時間を大切にしたいと思います。
「おかあさん おかあさん おかあさんてば おかあさん なんにもごようはないけれど なんだか呼びたい おかあさん」
西条八十作詞・中山晋平作曲「おかあさん」の歌詞です。私が幼稚園児のころに、自分の気持ちそのものだったようで、よく歌っていました。「お母さん お母さん」で検索するとこの歌詞と同時に「お母さん お母さん うるさい」というタイトルが表示されました。「子どもが一日中ママ、ママと呼んでうるさい」「忙しいのに呼ぶな」など、お母さんの切実な叫びが書き込まれていました。私が孫の様子を見ていても、本当に母親は疲れるだろうな、よく頑張っているなと思います。コロナ禍にあっては、情報交換の場も少なくなってしまい、育児も孤立しがちです。長く続く今の状況は、誰もがストレスを抱えています。辛さや苦しさ、問題を一人で抱え込まず、私どもに相談してください。困った時に助けを求めることは、当たり前のことです。共に子どもを育てるために、とても大切な必要なことです。私にも声をかけてください、喜んでお話を聞かせていただきます。
求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。叩きなさい。そうすれば、開かれる。(マタイによる福音書7章7節)
10月のおたより
園長より
緊急事態宣言が解除され、ようやく園児の皆さんを幼稚園に迎えることができます。とは言え夏以降、10歳未満の感染の割合が増えていますから、感染拡大防止の行動と危機意識は今まで以上に求められております。子どもたちが成長する環境を整え、学びの機会を充実させることと、感染予防策を同時に進めなくてはなりませんから、皆様のご理解とご協力が不可欠です。これからも、感染の状況を注視しながら対応を検討してまいりますので、よろしくお願いいたします。そのために、予定していた行事が急に変更になる場合もございますので、申し訳ございませんがご容赦ください。
夏休み中に、メール等でお知らせいたしました通り、動物小屋の跡にウッドデッキが造られ、砂場の横にあった家も新しくなりました。また現在、登園降園の際に使っているオリーブ門を改修して、傘をさしながらでも通りやすいように少し幅を広げました。これらは、皆様から頂いたご寄付によるものです。ありがとうございます、感謝してご報告いたします。子どもたちが、楽しく遊んでくれることを楽しみにしております。
今月は、8月9月10月のお誕生日会や運動会などを、工夫しながら進めようとしています。短い時間の中で、子どもたちが自由に楽しく遊ぶ時間を大切にしながら、子どもたちの主体性を広げて、行事につなげたいと願っております。幼稚園で出会う友達、先生、動物や植物・昆虫いろいろな出会い、経験が子どもにとって大切な学びです。慌ただしい、忙しいという文字は、心が荒れる、亡びると書きます。私たちが目指すところに急がせると、肝心の子どもが、置き去りにされてしまいかねません。忙しい時にこそ、子どもの歩くペースに合わせて進むこと、立ち止まることを忘れないようにしたいと思います。
しかし、イエスは言われた。「子供たちを来させなさい。わたしのところに来るのを妨げてはならない。天の国はこのような者たちのものである。」(マタイによる福音書19章 14節)
9月のおたより
園長より
長い夏休みが終わり、2学期の開始を園児もご家族の皆様も心待ちにしていたことと思います。私どもも、9月からは、お弁当を始められるのではないかと期待しておりました。しかしながら、感染拡大の波は静まることなく、子どもへの感染も明らかに増えています。幼稚園にとって、園児が一緒に遊べないということは、学びと成長の機会を奪うことで、大変申し訳なく慚愧にたえません。昨年の春は、登園できない状態が長く続きましたが、今年はできるだけ早く登園できるようにと願っております。この期間は毎日、幼稚園から子どもたちに向けたメールを配信いたします。楽しい遊びの時間としていただければと思っておりますので、ご協力をお願いいたします。
「素晴らしい人間に出会うのではなく、人間の素晴らしさに出会う」。1958年福島で児童詩集『青い窓』を創刊した佐藤浩先生の言葉です。非の打ち所がない素晴らしい人に出会うことは、まさに素晴らしい出会いです。しかし、そのような機会は多くはないでしょう。けれども、人は誰しも素晴らしさをもっているのだと思います。その素晴らしさを見つけ、出会う喜びを体感したいと思います。
困難な環境に耐えながら生きていく人の姿やハンディキャップを抱えながら努力を重ねている人の姿に心の高まりを覚えます。互いに支え合い、祈り合う人間の素晴らしさに出会いたいと願います。
「あなたがたは、それぞれ賜物を授かっているのですから、神のさまざまな恵みの善い管理者として、その賜物を用いて互いに仕えなさい。」ペトロの手紙一4章 10節
7月のおたより
園長より
暑くなってくると、水を使った遊びが多くなってくるようです。子どもたちは、園庭に水たまりを作って泥だらけになって遊んでいます。全身泥水に浸かって遊んでいるという様子を保育者から聞いて、子どもたちは楽しいだろうなと思いました。幼稚園でなければ、なかなかできないことです。普段そんなことをしたら叱られるのに、泥まみれになってもいいとは、なんという解放感でしょう。常識や決まり事の束縛から解き放たれ、自由を満喫できるとっても嬉しい時間です。しかし、下着まで泥だらけになった重い服を持ち帰り、洗濯するご家族の皆様のご苦労を思うと大変申し訳なく思います。「今だけですから」と、これを快く許してくださり、ご協力いただいておりますことに心より感謝いたします。もしかしたら、今だけではないかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
子どもが、したいこと、見たいこと、聞きたいことをできるだけ叶えてあげたいと思います。子どもが興味や関心を持つということ、それを体験することは、子どもの成長にとって、とても大切な学びです。
おーる あおやま あーと てん 21が旧短大ギャラリーで開催されています。各学校の素敵な作品と共に、幼稚園の子どもたちの素晴らしい作品が展示されています。中には、廃棄された音響機材に彩色を施した高等部生の作品、太陽の光をレンズで集めて木を焦がして作った短大生の作品などなど楽しいアート展です。ぜひ一度ご覧ください。
6月のおたより
園長より
先日行われた保護者会の挨拶でお話ししたことですが、ご参加できなかった保護者の皆さまとも共有したいと思います。
新型コロナウイルスの感染が続いていますから、保護者の皆さまには子どもを守るために、今まで以上の緊張感と時間と手間がかかっています。ストレスが溜まり、解消する術も少なくなっています。ストレスが溜まっているのは、マスクをすることなどを強いられている子どもも同じです。このような状況で育児を担うことは大変なことです。教育や育児は数日や数カ月で終わることではないので、保育者や保護者は、心身の健康を保ちながら継続できるように適当に、もしくは適切に手を抜くことが大切です。囲碁で手抜きとは、相手の打った手に対応せずに、他のところに石を打つことですが、これは、次善の手とか3番目に良い手だとか言われます。問題が起こって対応を迫られ、どう対処するか判断に迷う時、視点を別の方に変えてみると新たな活路が見えてくることがあります。その結果、問題だと思っていたことも解消されていたりします。
イエス・キリストは、休むことの大切さを私たちに教えてくださいます。抱えている重荷を共に担ってくださるお方です。疲れをいやしてくださるお方に癒しを求めてください。
「すべて重荷を負って苦労している者は、私のもとに来なさい。あなたがたを休ませてあげよう。」
マタイによる福音書11章 28節
5月のおたより
園長より
新型コロナウイルスの感染が拡大しておりますので、まだしばらく感染予防に心がけながら、過ごす日々が続くことと思われます。幼稚園では、引き続きこれまでの感染予防対策を徹底しておこなってまいりますので、今後ともご協力をお願いいたします。
行動が制限されている中での子育ては、困難なことが多くあると思われます。子どもが健やかに成長するために、栄養や睡眠は必要ですが、これも人によって違いがあります。食の細い子どもや、睡眠時間が少ない子どもはいます。無理に食べさせて、いよいよ食べなくなったり、寝かせるための努力がストレスになったりします。私も経験していますが、身体が求める時が来れば食べるようになりますし、寝なくとも元気が有り余っている子どもはそれで十分なようです。
それにもまして大切なことは、十分な遊びの時間と家族や周囲の人から大切にされていることが伝わっていることです。子どもの遊びは、勉強であり仕事です。多少の迷惑がかかっても、大切な勉強、大切な仕事をさせてください。そして、しっかり勉強や仕事をした子どもを何度でも繰り返し褒めてください。自分の仕事ぶりを褒められるのは、何度聞いても嬉しいものです。褒められた子どもは、自分を理解し大切にしてくれていることを実感し、喜びと希望を胸に健やかに成長します。
「何事も思い煩ってはなりません。どんな場合にも感謝を込めて祈りと願いを献げ、もとめているものを神に打ち明けなさい。」フィリピの信徒への手紙4章6-7節
4月のおたより
園長より
青山キャンパスに桜が咲き、イチョウやケヤキの柔らかな青葉が芽吹くこの時期は、青山学院が最も美しい時ではないかと思います。花や草木だけではなく、それぞれの学校が新入生を迎えて、喜びと活気に満ちあふれ、光り輝いています。
新入園の皆さまには、入園前に幼稚園にお出でいただく機会がなく申し訳ありません。新型コロナウイルス感染予防に努めながら、子どもにとって楽しい幼稚園でありたいと願っております。これからも、校医やアドバイザー、カウンセラーと情報を共有しながら、子どもたちが安心して過ごせる環境を守ってまいります。
お預かりする子どもたちは、神さまが特別に選んでくださった大切な一人ひとりであることを、私ども教職員は心に刻み、子どもたちの成長を助け、見守りたいと思います。保育時間など、ご協力いただくことが多くございますが、ご家庭と幼稚園が共に力を合わせ、祈りつつ進みたいと願っておりますので、よろしくお願いいたします。
「主は私の羊飼い。私は乏しいことがない。主は私を緑の野に伏させ 憩いの汀に伴われる。
主は私の魂を生き返らせ 御名にふさわしく、正しい道へと導かれる。」詩編23編1~3節